ハヤブサ消防団【オーディブル版】レビュー|田園風景が舞台の懐かしくも危険なミステリー作品!

ハヤブサ消防団【オーディブル版】レビュー

池井戸潤著『ハヤブサ消防団』オーディブル版をレビューします。

本当に、何度聴いても良い作品であり、先日から「10回目」を聴き始めたところです。

再生スピードを変えると「見える景色」が違ってくるため、聴くたびに新鮮な発見があります。

この作品は、是非オーディブルで聴いて欲しい!もう、コレは「絶対」と言って良いかもしれません。

杉山怜央さんのナレーションが作品風景と完璧にマッチしており、登場人物の個性が引き出されているからです。

「すでに書籍で読んだ」という方も、是非、オーディブルで聴いてみてください。

書籍版では知り得なかった「ハヤブサ地区」の住人たちが、あなたを迎え入れてくれるはずです。

『ハヤブサ消防団』のストーリー(概略)

ミステリー作家の主人公は、東京を離れて中部地方にある亡父の郷里に引っ越します。

田舎独特の慣習に戸惑いながらも、少しずつ土地の人々との交流を深めていきました。

一方、消防団に加入した主人公は頻発する火災に疑問をもち、独自の推理と調査を始めます。

前半の長閑で穏やかな流れとは違い、物語は後半に進むにつれハラハラの連続です。

とにかく、二度三度と聴いてみていただき、物語の奥深さを感じていただければと思います。

『ハヤブサ消防団』の魅力

『ハヤブサ消防団』を聴いてみて感じた、3つの魅力をご紹介しておきます。

登場人物が魅力的

著者の作品では共通していえることなのですが、一人ひとりの個性が大切に表現されています。

一見すると「悪役」に見えるような人物であっても、「弱さ」や「優しさ」がしっかり描かれていますので、すべての登場人物に親近感が残るのです。

池井戸潤著『7つの会議』でも感じましたが、物語の主役があるようで無い。

これは、物語の世界だけの話しではありません。現実の社会においても、誰もが愛おしい一面をもっています。

『ハヤブサ消防団』に登場する人たちは、表面的な繋がりが蔓延する現代に警鐘を鳴らしているのかもしれません。

ハヤブサ地区が魅力的

『ハヤブサ消防団』の舞台である「ハヤブサ地区」は、田舎暮らしの魅力がつまった地域です。

など、大自然と便利さの調和がとれています。

一方、現実の田舎では「ハヤブサ地区」のような適度な便利さが欠けています。

しかし、これは良いモデルケースと捉えることもできるわけで、住みやすい田舎を創っていくことは今後のテーマになるのかもしれません。

慣習が魅力的

『ハヤブサ消防団』に登場する「慣習」はすべてにおいて魅力的です。

おそらく、かつての日本では受け継がれていたことの多くが、「ハヤブサ地区」では当然のごとく存在しています。

しかし、これは物語のなかだけに限ったことではありません。現実においても、田舎には地域独自の文化が残っています。

「消防団」をはじめ「自治会」や「お寺」のことなど、現実の田舎暮らしにおいても同じ慣習が存在します。

主人公も最初は慣習に否定的でしたが、勇気をもって受け入れたことで次第に歯車が回り始めました。

田舎暮らしは「空気がいい」とか「のんびりしている」といったイメージが強いですが、面倒な事象は都会ぐらしより圧倒的に多いです。

しかし、田舎暮らしの本当の魅力は「受け入れること」から始まります。

地域のコミュニティに入り込んで初めて、見えてくる田舎の魅力があるのです。

『ハヤブサ消防団』で描かれている慣習はリアルな田舎そのものであり、面倒ではあるけれど守るべき慣習を知る良い作品であると感じました。

『ハヤブサ消防団』を聴いた感想

とにかく、何度でも繰り返し聴きたくなる作品です。

私の場合、気に入った作品は繰り返し聴くことが多いですが、『ハヤブサ消防団』も見事に仲間入りしました。

書籍は疲れるので繰り返し読むことは余りありませんが、オーディブルだと「耳」から物語が入ってくるので、全然ストレスを感じないのです。

物語の舞台が自分の地元と重なることも、作品に惚れ込んだ一因だったのかもしれません。

ただ、これは何度も聴くうちに抱いた感想であり、初めて聴いたときは田舎に対して良いイメージをもっていませんでした。

作中で主人公も感じていましたが、とにかく田舎は面倒なことも多々あるのです。

『ハヤブサ消防団』の魅力を一言で表すなら、「原点回帰」という言葉を借りようと思います。

時間に追われ、賞賛を得ることでしか幸せを感じられない、硬質的な社会に一石を投じる作品だと思うからです。

また、『ハヤブサ消防団』からは「繋がること」の大切さを教えてもらったような気がします。

困った時に支え合える関係性が希薄となった現代において、田舎には「支え合うのが当たり前」という風土があるのです。

若い頃には受け入れ難く、反発したくなるような関係性ですが、年齢を重ねるに良さに気づき始めます。

このタイミングで『ハヤブサ消防団』と出会えたことは、本当に幸せでした。

作品全体の色を成す「田舎暮らし」については、著者の緻密な取材活動に寄るところが大きいと思います。

もしかすると、著者自身が幼少期に体験した記憶が根底にあるのかもしれません。

私の地元も相当に田舎ですが、同じような慣習が脈々と受け継がれているから分かるのです。

誰もがイメージする「田舎」とは、ある種「戻りたい過去」を表しているのかもしれません。

「本当の自分はここには居ない」

そんな風に思ってはいても、目の前に続くレールから降りられない人がほとんどでしょう。

この物語では主人公が都会を離れて田舎暮らしを始めるわけですが、根底にあるのは「自分と向き合うこと」にあると感じました。

主人公の目を通して、「本当の田舎暮らし」を体験してみてはいかがですか?

そういうあなたにこそ、『ハヤブサ消防団』は響く一冊なのだと思います。

『ハヤブサ消防団』がおすすめの人

『ハヤブサ消防団』を是非聴いて欲しい方は以下のとおりです。

田舎暮らしに憧れている人

田舎暮らしに憧れている方なら、『ハヤブサ消防団』を聴く価値があります。

田舎の表面的な部分だけでなく、見えない現実とも向き合うきっかけになると思います。

田舎暮らしは人との繋がりが強い分、面倒な慣習や行事がたくさんあります。

私自身、「変わらず続けること」こそが大切であると教えられてきました。

田舎暮らしは良いことばかりではありませんが、煩わしさと引き換えにでも移住する決意がある方にはおすすめしたいと思います。

消防団に入っている人

私も消防団に入っていたからわかるのですが、「仕方なく入団した」という方も少なくないはずです。

物語でも紹介されていましたが、『ハヤブサ消防団』はまさに消防団員が主役です。

正直、ちょっと泣けてくるほど感動したのが、消防団員の言葉や行動であったりします。

暑い時期の「消防大会」や休日・夜間の「夜警」など、消防団に入ったばかりに大変な経験をすることは本当に多いと思います。

物語と同様、消防団員はそれぞれの仕事を抱えたうえでの「ボランティア」なので仕方ありませんが……。

しかし、『ハヤブサ消防団』で登場する消防団員の活躍を目の当たりにすると、すでに退団した身であっても何がしかの手伝いができたらと思うようになりました。

「消防団員」は本当にかっこいいです。普段の訓練は面倒で辛いこともあるかもしれませんが、消防団員にしか守れないものがあるのです。

「消防団なんて辞めたい」と思っている方は、ぜひ聴いて欲しいと思いました。

田舎に住んでいる人

田舎に住んでいる人のなかには、ここから抜け出したいと考えている人も少なくありません。

私も、若い頃は田舎暮らしが嫌で都会に出て生活したいと思っていました。

『ハヤブサ消防団』は典型的な田舎が舞台ですが、あなたが住んでいる地域と共通した慣習があることに気づくはずです。

そして、登場人物もあなたと同じように悩み、同じような不満を感じながら暮らしていることがわかるのです。

「他所の土地にも同じような慣習がある」

この事実を知るだけでも、『ハヤブサ消防団』を聴く価値はきっとあると思います。

まとめ

私も田舎に住んでいますので、物語に登場するシーンには驚きの連続でした。

どこの地域にも独自の文化があり、守り受け継がれている「心」があるのだと感じました。

はっきり言って、田舎暮らしは理想とは違って面倒なことが多いです。

しかし、面倒なことを受け入れて初めて気づく「田舎の魅力」があるのだとつくづく感じました。

都会暮らしに疲れた人も、田舎暮らしにうんざりしている人も、騙されたと思って聴いてみてください。

きっと、あなただけの出会い・発見が待っているはずです。

あとで知ったのですが、著者である池井戸潤先生の故郷がモデルとなった作品とのこと。

私の地元とも共通点が多く、とても楽しく拝聴しました。

インターネット環境が整備され、都会から田舎に引っ越して暮らす人が増えてきました。

都会でアクセク働かず、田舎でゆったり生活したいという方が増えてきたからでしょう。

しかし、せっかく移り住んでも田舎文化に馴染めずに後悔している方も少なくないようです。

『ハヤブサ消防団』はミステリーではあるものの、田舎暮らしと引き換えに受け入れなければいけない選択を示してくれている作品でもあります。

池井戸潤ファンはもちろん、田舎暮らしに憧れている方にも是非ともおすすめしたい作品です。

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2022-09-17