コーヒードリッパーといえば、真っ先に思い浮かべるのが「カリタ」と「ハリオ」です。(ほかに「メリタ」もありますが、今回は紹介していません)
どちらも日本の有名メーカーであり、愛用者も多いので、どちらかのドリッパーをお使いの方も多いでしょう。
私は「カリタ」愛用者、というよりカリタのドリッパーしか持っていなかったので、ハリオのドリッパーで淹れたコーヒーの味わいを知りませんでした。
そこで今回、ハリオのドリッパーV60を購入してみましたので、カリタのドリッパーと比較してみることにしました。
その結果、二つのドリッパーでコーヒーを淹れ比べてみると、明確に味の違いを感じることができました。
ドリッパーの購入をお考えでしたら、参考にしていただけますと幸いです。
カリタとハリオのドリッパーは、上の写真のように形状がまったく違います。
左の写真が「カリタ」、右の写真が「ハリオ」です。カリタは三つ穴式、ハリオは一つ穴式を採用しています。
上の写真を見ただけで、何となく抽出に対する考え方が分かるような気がします。
カリタがバランス型であるのに対し、ハリオは集約型であることがわかります。
本格的にコーヒーを始めた頃に撮った動画なので少しわかりにくかもしれませんが、お湯がどのようにコーヒー粉を透過して抽出されているのかが確認できます。
HARIO (ハリオ) V60 透過 コーヒードリッパー 02 クリア コーヒードリップ 1~4杯用 VD-02T
それでは、カリタとハリオの公式サイトをもとに、それぞれの抽出に対する考え方をご紹介します。
カリタのドリッパーは底面に3つの穴が空いています。
この三つの穴があることで、コーヒー粉の成分を均一に抽出しているのです。
また、側面には前後左右から底面に向けて溝が刻まれています。
コーヒー粉の旨味と香りを余すことなくサーバーに落とすための溝です。
そういえば、子どもの頃家にあったドリッパーが「カリタ」だったような記憶があります。
ずっと前から親しまれているドリッパーなんですね。
また、カリタのドリッパーは底面がヨコに広いため、アイスコーヒーをつくるのに重宝します。
ドリッパーに直接氷を入れ、ドリップしたコーヒーを透過させることで「薄くないアイスコーヒー」をつくることができるのです。
(参考:カリタ公式サイト)
ドリップコーヒーが初めての方には、カリタのドリッパーがおすすめです。
理由としては、お湯を上手くドリップできるようになるには一定期間の練習が必要だからです。
その点において、バランス型である「カリタ」はドリップテクニックが味わいに影響を与えにくい構造になっています。
底に3つの穴が空いていることやお湯をドリッパー内で滞留させることで、バランスの取れた抽出ができるからです。
ドリップテクニックで味わいに変化を持たせることができる「ハリオ」との決定的な違いであるといえます。
カリタのコーヒーフィルターは、ドリッパーの形状に合わせた「台形型」です。
使用する際は下側の継ぎ目を折り、つぎに左側の継ぎ目を反対側に折ります。
フィルターの目が細かいので、3つの穴からバランス良く抽出することができます。
カリタのドリッパーには、形状に合わせてつくられたカリタの台形フィルターを使いましょう。
ハリオのドリッパーは、商品名にもなっている60°の円すい形が特徴です。
四人分が抽出できるサイズですが、ドリッパーのサイズが大きく存在感があります。
そして、何より美しい形状に見惚れてしまいます。
タテに長い円すい形がコーヒー粉の層を厚くし、お湯に長く触れることでコーヒーの旨味をしっかりと抽出できるのです。
ドリッパーの側面にはらせん状の溝があり、フィルターの密着を防いでいます。
フィルターがドリッパーに密着しないことで空気を外側に排出し、スムーズな抽出を促しているのです。
また、真ん中に空いた大きな一つ穴は、ネルドリップに近い抽出をするために設けられています。
お湯を注ぐスピードで濃い味からサッパリとした味わいまで楽しめるのがハリオのドリッパーの特徴です。
逆に言うなら、ドリップ技術がコーヒーの味わいとダイレクトに繋がってくるのが「ハリオ」のドリッパーなのだと思っています。
(参考:ハリオ公式サイト)
ドリップコーヒー中級者以上なら、ハリオのドリッパーがおすすめです。
注湯速度を変えることで、色んな味わいを愉しめるからです。
ハリオのコーヒーフィルターは、ドリッパーの円すい形に合わせてつくられています。
写真の左側にある「継ぎ目」に沿って一箇所をタテに折ります。
継ぎ目を折ることで、フィルターとドリッパーをフィットさせるのです。
ハリオのフィルターは下側が尖った形状になっているため、フィルターの先端がドリッパーの真ん中にある一つ穴の外に出る形になります。
フィルターの先端がドリッパーの制限を受けないことで、コーヒーの味と香りをそのまま抽出できるのです。
ハリオのドリッパーには、ハリオ純正フィルターを使いましょう。
HARIO (ハリオ) V60 透過 コーヒードリッパー 02 クリア コーヒードリップ 1~4杯用 VD-02T
カリタとハリオのドリッパーを比べてみると、カリタはドリップ初心者でも扱いやすく、ハリオは中級者以上の方に合っているように感じました。
お湯の注ぎ方の影響を受けにくいバランス型のカリタに対して、注湯速度で味がコントロールできるハリオは「使う人を選ぶ」ように思ったからです。
今回はじめてハリオのドリッパーを使ってみた感想ですが、
など、コーヒーと向き合うなかでの新たな発見がありました。
これらの発見は、使う豆や器具によって感じ方も変化していくことでしょう。
実際、公式サイトで紹介されている内容を読んでみると、お湯の注ぎ方一つで味が大きく変化することを知りました。
注湯速度についてはカリタの公式サイトでも取り上げられていましたので、ドリップコーヒーの「奥深さ」を知ることができて良かったです。
私はまだまだドリップ初心者であるため、カリタ向きかなとは思いましたが、今後はハリオの円すい形にもチャレンジしていきたいと思います。
今回は、カリタとハリオのドリッパーを比較してみました。
ドリッパーが一つ増えたことで、妻に何か言われるだろうと覚悟していますが……(笑)
結論としては、コーヒーを淹れるシーンや気分に合わせて使い分けるの正解です。
どちらのドリッパーを使っても、コーヒーを美味しく頂けることに変わりはないからです。
また、カリタもハリオもドリップに対する考え方に基づいてつくられており、コーヒーの味わいに大きく影響しているということがわかりました。
それぞれのメーカーが求める抽出を探ってみるのも、一つの愉しみと言えるかもしれません。
この記事をお読みになっている方のなかには、「コーヒーはインスタントしか飲まない」という方もいらっしゃるでしょう。
私自身がインスタントコーヒーしか飲まなかったくらいなので、このような記事を書くようになったのは不思議な気分です。
「一杯のコーヒーが人生を変える」という言葉を何処かで見たような気がしますが、コーヒーにはそんな力があるのかもしらません。
あなたも是非、ドリップで淹れるコーヒーの世界を知ってください。
そして、今回の内容のように、ドリッパーの違いで珈琲の味が変わることを感じて頂けたら、さらに嬉しく思います。